数学に魅せられて、科学を見失う

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数学に魅せられて、科学を見失う
ザビーネ・ホッセンフェルダー, 吉田三知世
みすず書房
素粒子の世界において、実験と理論の乖離が甚だしいといわれてからずいぶん時間がたった。1970年代が、実験と理論のペースがすり合った古きよき時代かも。
私が、学部を卒業した時代あたりが、超紐理論が大流行したころ。研究室でも、院生や京大からいた来た人たちは、確かに数学的にはキレイな話をしていた。
だけれど、実体のない絵空事を会話しているなあ、これについていき、先端を歩み、一生を捧げるのは、しんどいなあと、思った。そこからが、私自身の人生も茨の道。大学で学んだ知識、解析力学、量子力学はむろん、Lie代数、経路積分、を仕事で、直接つかった経験が全くない。
それでも、素粒子の理論の世界にしがみついてきた人たちの恨み節が、この本かもしれない。ディラックが言い始めた、数学的にキレイな物理。それは、実証できない限り、物理ではないともう。物理は数学ではない。
それでも、私はこう言える。
この世界を知らなくとも、日常生活になんら、支障はない。それでも、この美しい世界を知ることは、至極の価値があり、この世界を知らないことは、人生の浪費だ。

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