
暑い、熱中症になりそうだ。
熱中症対策というと、水と塩分をとることだと教わる。
でも、この塩。
塩が必要なのは人間だけでなく、広く動物全般にあまねく必要だ。かたや、塩が必要な植物なんて聞いた事がない。動物も植物も同じ生物なのに、どうして塩が必要だったり、不要だったりするのだろうか?
動物は動くために、筋肉を動かさなければならない。筋肉を動かすには神経で信号を伝達する必要があり、この神経伝達に塩(ナトリウムイオン)が要る。一方、植物には動物のような神経系はない。また、動物の細胞には細胞壁がないため、ナトリウムを取り込んで浸透圧を保ち、細胞の膨張を防ぐ必要がある。しかし植物の細胞には細胞壁があるため、ナトリウムを使って浸透圧を調節する必要がないのだ。
比べてみると、面白いものだ。
友達が、マングローブの面白い生態を教えてくれた。干潟のマングローブは満潮になると海水に浸かるため、体内の塩を排出するそうだ。それを「犠牲の一葉」と呼ぶらしい。その一枚だけが黄色くなって落ち、海に漂っていく。そしてまた次の犠牲の一葉がつづく、生命の営み。
波打ち際のマングローブや、アマモ、ワカメ、昆布などは塩水に囲まれていてたいへんだ。彼らのような植物や海藻にとって、塩は本来「細胞から水分をむしり取り、代謝を狂わせる致命的な毒」である。それでも彼らが海や波打ち際で生きていけるのは、それぞれが全く異なる強力な「生き残りメカニズム」を発達させたからだ。
マングローブは、陸上植物のまま海に進出した「塩分ろ過の達人」
マングローブ(メヒルギやオヒルギなど)は、もともと陸上にいた被子植物が海水辺へ適応したものだ。彼らは「体内に余計な塩を入れない・出してしまう」工夫を徹底的に行っている。
根の細胞膜にある特殊なフィルター(逆浸透膜のような仕組み)を使い、吸い上げる海水の90〜99%の塩分をカットして淡水だけを吸収する。わずかに体内に入ってしまった塩分は、いくつかの方法で処置する。例えば、葉の表面にある塩腺(えんせん)から塩分を結晶として排出したり(マヤプシキなど)、特定の古い葉に塩分を集めて落葉させることで体外へ捨てたり(メヒルギなど)する。
アマモは、海の中で「浸透圧をコントロール」
アマモはワカメや昆布の仲間ではなく、陸上の単子葉類(ユリやイネの仲間)が完全に海中に戻った「海草」だ。花を咲かせ、種子で増える。
彼らは細胞の浸透圧を高く保っている。海水に水分を奪われないよう、細胞の中にアミノ酸や糖類(有機溶質)を蓄え、細胞内の濃度を海水と同等以上に高めているのだ。
また、クチクラ層の退化も見られる。陸上植物のような「水分蒸発を防ぐワックス層(クチクラ)」を捨て、葉の表面からも栄養や水分を直接やり取りできるように適応している。
ワカメ・昆布は、そもそも陸に上がったことがない「海藻」
ワカメや昆布は、陸上植物(種子植物)とは根本的に分類が異なる「褐藻類(大型の原生生物)」だ。進化の歴史において一度も陸に上がったことがないため、身体の構造全体が海水を前提に作られている。
体全体が海水の濃度と均衡しているのが特徴だ。細胞の中にカリウムイオンや特有の糖類(マンニトールなど)を大量に溜め込み、細胞内部の浸透圧を周囲の海水とぴったり均衡させている。そのため、海水の中にいても水分を奪われる(脱水する)ことがない。
さらに、細胞壁や表面を包む独特のぬめり成分(アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維)は、過剰な塩分(ナトリウム)が細胞内に直接侵入するのを防ぐ保護膜の役割も果たしている。
自然は本当に、よくできている。
Co-authored with gemini-3.1-pro-preview
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