SARS-CoV-2が宿主の抗ウイルス免疫防御システムを阻害するメカニズムが解明される

執筆者:

カテゴリ:

Nejmcibr2007042_f1
出典:How to Discover Antiviral Drugs Quickly(The NewEngland Journal of Medicine
新型コロナウイルス感染症COVID-19は、人体が、新型コロナウイルスSARS-CoV-2に感染することによって引き起こされるウイルス感染症。
その事実を学び、コロナウイルスに関する知識を急速に習得し始めて。もうすぐ一年。SARS-CoV-2に対応するワクチンの接種が、日本での医療関係者や高齢者が先行するが始まった。
しかし、SARS-CoV-2ウイルスのお姿というと、イガイガのついた球体が有名だけど、その内部を一般むけにキチンと説明している情報は意外と少ない。The New England Journal of Medicnieが、その、毒々しい姿を紹介してくれていた。確かに、気持ちが悪い。
公益財団法人東京都医学総合研究所の発表(2020/07/28)によると、SARS-CoV-2が宿主の抗ウイルス免疫防御システムを阻害するメカニズムの解明されたらしい。そのメカニズムの肝となるNsp1を標的とした創薬は、SARS-CoV-2の免疫抑制を解除し、ウイルスの免疫排除を回復させることで、期待できるらしい。
ウイルスの増殖にとって、宿主の免疫排除システムを回避する戦略の獲得は大変重要。SARS-CoV-2では、Nsp(Non structured protein)というタンパク質が、宿主細胞の増殖抑制に関わる機能を有することが知られていたらしい(virulence factor; 毒性因子)。
さらに、この論文中で紹介されている2020/7/17、Science発表論文によると、SARS-CoV-2ゲノムにコードされる26種類のタンパク質の中の一つNsp1が、宿主の抗ウイルス自然免疫応答に必要なタンパク質の合成を特異的にシャットダウンすることにより、宿主の免疫防御システムを阻害することがわかった。
Nsp1は、リボソーム40Sおよび80Sサブユニットの両者に結合し、mRNAの侵入部位(entry site)の内部に固く結合し、mRNAの結合を阻害し、翻訳開始を阻害する。具体的には、RIG-1(ウイルスが細胞内に進入した時にウイルス由来のRNAを認識し、抗ウイルス作用を示すI型インターフェロン産生の誘導を引き起こす因子)やISGs(インターフェロンにより誘導される遺伝子)の翻訳を強く阻害し、免疫排除を回避するというシステムを有する。巧妙だ。
Nsp1そのものの働きを防御する戦略や、SARS-CoV-2のRNAに対して、Nsp1のような物質を用いて、RNAの複製を止めてしまう戦略が考えられる、そんな戦略を実行できる化学物質はないのか?
それにしても、もの凄く小さなスケールでの出来事を会話している。すごい、時代だ。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です