
米国コーネル大の生物学教授であるシーリー先生が、ミツバチの行動、特に、晩春から初夏にかけて、ミツバチの巣の中が過密になると、その一部が新たな女王ハチを担ぎ出し、新たな巣を求めて旅立つ行動(分蜂)について、まるまる1冊をかけて解説してくれる本。
ミツバチは、とても社会性をもった昆虫だということは前から知っていました。アリなんかもそうですよね。そのミツバチの集団が、どうやって、新しい巣を探し、ミツバチ同士が教えあい、候補地を一つに選定し、全員そろってその新居に移動するのか?集団的意思決定の問題です。
新しい巣を捜すプロセスでは、経験を積んだ働きハチが、候補地選定委員に役割を変え、探索ハチとして、候補地探しの旅にでかけ、いい場所をみつけると、有名なハチのダンスで、方向と距離を、強烈に「いいね!」アピールしまくるそうです。一つのミツバチの巣に約1万匹の働きハチがいて、そのうち300匹くらいが探索ハチになるそうです。
その「いいね!」アピールをみたハチたちは、自分でその場所に飛んでいき、自分の目で耳で新しい候補地を体験し、みずからも「いいね!」アピールをしまくるそうです。まるで、口コミが口コミをよび、バースト的に評判があがったレストランのような感じ。
全足一致で候補地を1カ所に決めると、今度は,全員で体をふるわせ、巣の中の温度を上げて、体温を上げるそうです。その時には、ハーメルンの笛吹きのように、ブイブイ鳴きまくる役割のハチがでてくるそうです。まるで、スタート前、レースカーのエンジン音がブイブイなっているF1レースのようです。
そして、新しい巣に向かって一気に飛び立つそうです。そのときも、探索バチがパイロットの役割をもち、まだ、見たこともない巣にむかって集団をガイドするそうです。
この現象、見方を変えるともっとおもしろそうです。一匹のミツバチをある種の情報処理ユニットとしてみて、分蜂というプロセスを、処理ユニットの集団が、情報を収集し、認知し、行動を決定し、実行していくと考えると、おもしろい。
1.分蜂群の感覚器官としての探索ハチ
2.感覚情報を数時間から数日で収集する探索ハチ
3.各探索ハチは巣作り候補地を独自に評価
4,候補地の評価をした探索ハチが、さらに他の探索ハチを招集
5.探索ハチは時間と共にダンスによる反応を弱める
どうも、このやりかた、名前が付いているらしいです。
逐次確率比検定(Sequential Probability Ratio Test)として、名前が付いているらしいです。複雑系ネットワークの概念を入れて、このモデルで遊んでみるのもおもしろそうです。
メイン州アップルドア島や著者の裏庭で、ミツバチの行動を一匹一匹一日じゅう観察しつづける、地味なフィールドワークの話とともに、研究室での論理展開もおもしろく、自然科学の研究の醍醐味を詳細に教えてくれるこの本は、すてきでした。
著者が最後の章でまとめて書いた、分蜂群の知恵はキチンと心に刻み、人間界での社会生活にも応用していきたいと思います。
<<分蜂群の知恵>>
1.意思決定集団は、利害が一致し、互いに経緯を抱く個人で構成する
2.リーダーが集団の考えに影響を及ぼす影響を最小化する
3.多様な解答を探る
4.集団の知識を議論を通じてまとめる
5.定足数反応を使って一貫性、正確性、スピードを確保する
ミツバチの会議
トーマス・シーリー著
honeybee democracy
Thomas D. Seeley
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