
ルシア・ベルリン『すべての月、すべての年』
講談社
両親の介護で実家に帰省した際、駅の本屋で偶然この本を見つけた。短編集のようなので、帰りの新幹線の中で気軽に読めるだろうと思い、軽い気持ちで購入した。
読んでみて、久しぶりに驚いた。文章が非常に読みやすい。いや、読んでいると、目の前に土の匂いや風の熱さ・冷たさを感じ、主人公の隣に自分が立っているような気がしてくる。文章を五感で感じた。
そこで語られるのは、さまざまな境遇の人々の物語。看護婦、掃除夫、囚人、アルコール依存症、教師、尼僧など、いわゆるエッセンシャルワーカーの人々。決して、一人の人生の中では、二度と経験できないような出来事が数多く描かれている。
一篇を読むたびに、思わずため息がこぼれた。ルシア・ベルリンの英語原文の切れ味が素晴らしいのだろうが、それを一切歪めることなく、日本語に見事に翻訳している翻訳者、岸本佐知子さんの力量も素晴らしい。
日本語訳の一冊目『掃除婦のための手引書』も読んでみた。こちらも、文章が冴え渡っている。最近、日本語訳の三冊目『楽園の夕べ』が出たようだ。ぜひ読んでみよう。
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